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偏在的放棄性脱力癖を誘発する二次創作ブログ

2024/11/21

中国語字幕で分かったこと

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2022/02/20

中国語字幕で分かったこと

やっほっほー。2/16の正午以降に、いきなりテンセントビデオさんでの大护法配信が終了し、失意の日々を送る弐新です。いや、私個人はスマホにオフラインでとっといたやつが何故かVIP会員期間終わっても見られる(何で?)(さあ……?)のでいいんですけど、登録までの過程がクソ面倒くさいとはいえ一応は誰でも見れた環境がなくなったのが無性に寂しいです。アイチーイーではまだ見れるっぽいんですが、テンセントビデオのことさえ何も分からんかったのに、アイチーイーは輪をかけて分からんから手を出す気になれないです。
やっぱ物理媒体が最強なんじゃないですかね!?いい加減DAHUFAの円盤化頼みますよマジで。自社コンテンツのショップサイトを作ったんだったら、そこに乗せる形で売ることできますよね?JUNKHEADみたいに!!!JUNKHEADみたいにッ!!!
取り乱してしまいました。本題に戻しまして、前回の記事で書いたとおり、中国語字幕読んでて分かったことを一通りまとめ終わったのでうpしに来ました。長いので久々に記事畳みます。続きからどうぞー。

これはブログに載せるタイミングを見失っていた過去絵。仕事猫パロ。
ダフファーの付け髭、ファンシーでかわいいと思う。敵が着々と包囲網固めつつあるあの状況で付け髭などつけてみようと思ったのは、好奇心なのか遊び心なのか意図が読めないし変装したいならツメ甘すぎるしで、何が良しなのか全く分からないけど、かわいいの一点突破で許される勢いがある。
これを描いた当時は知らなかった(上の文章も前書いたやつ)んですけど、ここのシーンの台詞、中国語字幕だと「扮个神仙壮壮胆」でしたので、ちょっと神仙の真似でもして気合いいれよ!気持ち切り替えてこ!的な意味合いがあったっぽいです。何だそれかわいいな。

そうそう、ここのシーン、もうひとつ不思議なところありますよね。付け髭をつける前に唐突にダフファーが黒い石にまつわる話を始めるんですけど、あれも何だったのか分からなくないですか?日本語字幕だと締めが「何と恐ろしい話だ」で、伝聞に対する感想?っぽいから、明文化された村の逸話(豆人間の栽培方法も本として確立されてるくらいだし、吉安の館内にそういう碑文とかがあったり?)を読み上げてるのかなと個人的には思ってました。
この直後の銃撃戦が個人的に作中一番ワクワクするパートなので、深く考えなくてもまあいっかとなってしまいがちなものの、振り返ってみると割と謎だったこの場面も、原文でだいたい意図が分かりました。
おそらく字数の関係(字幕、台詞1秒あたり4文字以内の制限があるらしいです)で日本語字幕には入ってなかった台詞があって、ダフファーが話し始めるときに「我听说过一件事」って言ってるんですよね。なので、ダフファー自身が昔聞いたことがあった黒い石の話を、マオが豆人間から似たようなのを取り出すところを見たり洞穴でバタバタ戦ったりしてるうちにふと思い出した、というような感じのようです。
え?すごない?誰に教えてもらうわけでもなく、自力で村の真相に辿り着いてるんですけどこの主人公。つよ。監督がインタビューで「彼は知恵を持っている賢者です」と語っていた(ここ参照)のは、こういうとこにかかっていたりするんですかね。
メタ的に言えば、脚本の癖が出ているという見方もできなくはないかなとは思います。作中で意味が通らないこともないけどそのへん若干あやふやな喋りで間を持たせるやり方、ちょいちょい多用されてますよね。例を出すと、皇太子が捕まってるときに「ミンが助けに来る気がする」って不意に言い出すシーンとか。その後ほんとにミンが来るもんだからなんか予知能力者みたいなことなってるんだけど、別にそういう設定があるわけじゃないから、ほんとにただの勘が偶然当たっただけなんだなってなる、みたいな。キャラクターの喋りに作中でどれだけの意味があるのかを考察するなら、脚本にこういう癖があるということを把握しておかないと、整合性が迷子になったり突拍子もない結論に走っちゃったりしそうです。
でも、ここの黒い石の話でいうと、監督インタビューでの文言を裏付けとして使えるはずなので、やっぱりダフファーが以前聞いたことのある逸話を豆人間の黒い石の正体と結びつけて考えた、と読んで良さそうだと思っています。頭が切れる荒くれ守護者、やはり良いキャラをしている……。

あと、これは字幕とか一切関係なく、ただ私が妄想しただけのことなんですけど、本編を見返していてちょっと怖いこと考えちゃったので書いておきます。
豆人間たち、知らない間に共食いさせられてるじゃないですか。あれって理由としてはただ蟻猿の巣がメチャクチャでかくて大量に生息しているせいで食料として持ってくるのにコスパ良いからってだけで、所詮家畜なので人道的な配慮とかを度外視したコスパ優先の運用をされているって表現だと思ってたんですけど、それだけじゃなくて共食いの行為自体が黒魔石の生育条件にも関わってたりするんですかね?黒魔石の色自体は、村全体を相互監視環境にして村人を憎悪と愚かさに浸すことで染まると思うんですけど、作中で人間には猛毒とされる黒魔石の生成に、豆人間の共食いが条件に絡んでくるとしたらめちゃくちゃえげつなくないですか。
共食いといえば現実の家畜でも肉骨粉からの狂牛病とか社会問題になったしヒトでもクールー病とかあるんだよなーと思い出して、ふと考えてしまった。書いててウゲーとなってきたのでもうこの話やめるね!

ちょっとアレな話題を出してしまったので気持ち切り替えていきましょう。各キャラの呼ばれ方を相関図にまとめてみました。
特筆すべきはダフファーがめちゃくちゃ好き勝手あだ名つけられてること・皇太子とダフファー間のバリエーション豊かな罵倒表現に加えて、ダフファーがミンのことを「无可救药的顽劣」と散々な呼び方をしていること。ひとつずつ見ていきましょう。
ダフファーに本名がないせいで、みんなあだ名を勝手につけているのでは?というのは過去記事(ここ)でも触れたことがありますが、原文を全部読んでみてもやっぱりそうでした。「大护法」って呼び名を他人に呼ばれたシーンがないんですよね、全箇所ダフファーの自称。ダフファーは自身のルーツが分からないぶん、どう生きるかを自分で決めてるっぽいので、他人にどう呼ばれるかを特に気にしてないんでしょうか。ドライだなぁ。
皇太子とダフファー間の様々な罵倒表現については、この2人のお互いへの遠慮の無さが如実に現れるので、探すのめちゃくちゃ面白いです。特に最終場面で「お加減いかが?」「やっと来たか 用心棒」って訳されてたところがヤバくて、ここ原文だと「还能动吗可怜虫」「你終于来了跟屁虫」だったんですよ。私的に訳すと「哀れな虫はまだ鳴けますか?」「やっと来たか、ひっつき虫め」。……もう呆れて声が出ない。こいつらほんとに口悪いどころの話じゃない。何で2人とも重傷な癖にバチボコに煽り合ってんの???虫で韻など踏んじゃってさあ。
日本語字幕の「お加減いかが?」って、しょーみ軽すぎて台詞浮いちゃってないかなあと思ってたけど、こうして見ると、原文のえげつない煽りっぷりをなんとか日本語で軟着陸させようとした翻訳担当の人の苦心が透けて見える名訳だったんですね。なるほどねー。
最後にミンの呼び方について。最終場面でダフファーが言った「では国に連れ帰って手懐けましょう」の台詞が、原文だと「也只有那里能驯服,这样无可救药的顽劣了」だったんですよ。「あの度し難い邪悪を飼い馴らすには国に連れ帰るしかないでしょう」みたいな訳になるんでしょうか。度し難い邪悪……度し難い邪悪ぅ!?
結果的にはダフファーはミンの策略に嵌まって、見事にしてやられたかたちになるんで、そのへんの恨みがにじみ出る表現になっているようです。日本語字幕では前文の訳を「あのガキどうします?」にすることでそういうニュアンスを盛り込んでいたんですね(こっちの台詞の原文は「这个小孩你打算怎么办」で、「小孩」自体に蔑んだ意味合いはないっぽいので)(文脈によるとは思うけど)。日本語訳のきめ細かい工夫、ここにもあった。ミン、国に行ったら「あの守護者を罠に嵌めて一杯食わせた少年」として皇宮でちょっとした評判になりそうだな。
お互いの呼び方にもキャラクター間のギスギス感が出る脚本、芸が細かくて面白いですね。原文だと手加減なしのバーリトゥードっぷりで、読んでて楽しいです。他にも見つかるかなあ?

さて次は、みんな大好き口喧嘩のシーン。全文激アツなので引用します。日本語訳を各自行って、一切の容赦がない罵倒語の応酬に慄き震えてほしいですね。

大:前世造孽 你稀里糊涂的在说些什么 赶快从那把破椅子上站起来跟我走
皇:我让你把武器放下 你说东扯西的到底是谁糊里糊涂
大:你疯了吗 你明明知道这柄乌钢杖 対我来说意味着什么 你是不想我们活着走出这里了是吗
皇:我一直活得好好的 不用你来说危险 危险 危险
大:你说得出 是不是这么多次我死去活来的救你
皇:你別嘚瑟了 就是救了白眼狼吗 我看你才危险人物
大:我上輩子欠你什么了
皇:天天拖看武器跟看我
大:你現在就都吐出来吧
皇:明明你我才是我最大的威胁
大:说说说 随便你怎么说
皇:不然你就证明你的忠誠 放下武器 你个死胖子
大:这下你満足了吧
皇:你横什么 砸东西是吧 我不会吗
大:王八蛋
誤字あるかもだけど、たぶんこんなかんじ。原文が一番アツいからそのまま読めばいいので、私が書くことあんまないな……。まあいいや。
一行目から読んでいくにあたって、初っ端の「前世造孽」から早速意味がうまく取れなくて詰みました。前世の罪……とは……?ネイティブの人なら分かるんでしょうか。情報ゆる募。
日本語字幕で出てない範囲の会話は「毎日武器を持って付きまといやがって!」「じゃあどうしてほしいって言うんですか?あなたの仰る事なら何でも聞きますよ」「なら忠誠心を証明してみせろ!」的なかんじの流れかなあ?案の定「你疯了吗(頭おかしくなったんですか?)」だの「白眼狼(恩知らず)」だの「王八蛋(字幕だと「バカ皇太子」だったとこ)」だの、罵り合いが苛烈でワクワクする。この2人、主従関係で言っちゃいけないこといっぱい言いあってるぅ……。
見ると中国語の罵倒の語彙が異様にたくさん身につく映画、それが大护法。


これはTwitterで先に呟いたネタです。あんまり面白いので絵にした。
最終戦でダフファーが羅丹に言った「だがさっきの一発はけっこう効いたぜ」は元の台詞が「我最讨厌别人打我屁股,可你第一枪就打在我的屁股上」なんですけど、1回目の狙撃で尻を撃たれたことをめちゃくちゃ根に持っていて笑っちゃったんですよね。
視聴者的には2回目撃たれたあとの落下ダメージのほうが断然キツそうだし、日本語字幕ではそっちにかかってそうな台詞になってて分かりやすいですね。そりゃ「俺は尻を叩かれるのが一番嫌いなんだよ!なのによりによって尻を撃ちやがって!」(私訳)っていきなり言われても何!?ってなるよ。2回目撃たれたときのほうがキツくて、ダメージ引きずりながら強敵と対峙する羽目になったからこそ、強がりとして1回目を引き合いに出したとも読めるんですけど、それにしたって尻を叩かれるのが大嫌いって唐突にパーソナルな情報、いる?????
ダフファー、好きなこととか嫌いなものとかの嗜好をあんまり出さないから、こんな台詞で判明するとは思ってなかった。しかも尻。だいたいみんな嫌いだと思うよ……。

はあ。本編見て、ますますこの作品の良さを思い知りました。噛んでも噛んでも味が出てくる……。
DAHUFA、作中で明確に答えを出さないところがやはり良いなと思いました。正解のない人生をただ生きるしかない諦めに満ちてる。
というか、作品のこのテーマ的には、作中で答えを出しちゃ逆に駄目だと思うんですよね。さんざん民衆の思考停止を皮肉っている作品なんだから、視聴者としては安易に出された答えを鵜呑みにするようでは駄目じゃないですか?考えるための材料を渡された範囲内で整理して、視聴者側で自前の脳みそ使って考えるしかないと思います。
今どきのエンタメによくある、自分の生き方は自分で決めていい!みたいな前向きなテーマ、それはそれで真っ当に描けていれば好きなんですけど、ことDAHUFAに限っては全くそんなこと言わないところが好きです。自分の生き方をある程度自分で決めているらしいダフファーは作中全く楽しくなさそうだし。あと、ニセの目をとれって言われて拒否した(イコール自分の意志に従ったとも受け取れる)豆人間が撃ち殺されたのも、結局は個人で何をどう決めようが最終的には関係なくて、暴力だけが世界の流れを変える力を持つシビアさが作品全体に徹底されていて説得力があります。
それに、結論を言えば豆人間は、ヒト並に知性や感情があるにも関わらず抑圧され、欧陽家に栽培されるだけの家畜だったわけですが、事実を隠婆から教えられたジャンがその結論で終いとせずに、自分の意志を持って隠婆や皇太子を助ける行動を起こした事実が尊いし、ラストで皇太子がその意志の結晶を拾い上げる幕引きがやはり美しすぎるんですよ……。他者が定義した答えをそのまま受け取って満足してはいけない理由がそこにある。答えの向こう側にあるものの価値が重すぎる。マクロな流れは変えられなくても、ミクロな価値を拾い上げることは非力な人間にもできる……。
皇太子が皇帝になりたくないと逃げ出したことで物語が始まって、結局は幕引き後にはその運命に従うこと自体は変わらないんでしょうけど、これからの彼の傍にはジャンがいるから、そのお陰で何か変わるといいなと願わずにはいられない。

例によって、最後のほうは興奮しすぎて何言ってるのか分からん感じになってしまいました。そろそろこのへんで終わりにします。
中国語字幕で考えたことは、自分の中でまとまり次第今後も書いていきたいなと思います。それではまたこんど!

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負の走光性持ち人間。道端の石とかめくったらいるタイプ。

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